陶器の産地として、海外にもその名を知られる益子。
なだらかに広がる田畑に小高い山や丘、春は水鳥が舞い降り、
冬は薄氷に覆われる池等初めて訪れるひとにも、どこかなつかしさを感じさせる町です。
そんな風土を背景に生まれた「益子焼」は、艶のあるなめらかな肌をもつ、
たっぷりとした厚手の器。手のひらで包むと、じんわりとあたたかさが伝わってきます。
民芸運動の拠点として大正時代から内外の陶芸家たちを受け入れてきただけあって、
新取の気性に富む土地柄も大きな魅力です。
近年では、おしゃれなカフェやパン店が増え、沢山のひとで賑わっています。
足を運ぶたび益子の新しい顔を発見し、奥深さを知ることでしょう。
益子焼は江戸時代末期に笠間で修業した大塚啓三郎が窯を築いたことに始まると 言われます。 以来、優れた陶土を産出すること、大きな市場である東京に近いことから、鉢、 水がめ、土瓶など日用の道具の産地として発展をとげます。 1924年に濱田庄司がこの地に移住し、「用の美」に着目した栁宗悦らと 共に民芸運動を推めるかたわら、地元の工人たちに大きな影響を与え、益子焼は 「芸術品」としての側面ももつようになります。 若手からベテランまで、益子に窯を構える陶芸家も多く、その作風は多種多様です。 春と秋には陶器市が開かれ、沢山の陶芸愛好家でにぎわいます。